しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「月は地獄だ!」ジョン・W・キャンベルJr(ハヤカワ文庫SF)

30年近く前の絶版本だから書誌情報はないと思ってたけど、一応あるんですねー。
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月は地獄だ! (ハヤカワ文庫 SF 226)

月は地獄だ! (ハヤカワ文庫 SF 226)

2年間におよぶ月探査の終わり、宇宙飛行士15人を回収すべく地球からやってきた宇宙船が墜落炎上…という劇的な幕開けの本書。「月は地獄だ!」ってタイトルだし、これから限られた酸素と食料の中、15人が様々な生き地獄を味わっていくんだろうな…と思って読み進んでいくと、ちょっと最初に思ってた印象とは違ってましたね。隊員たちは、酸素や人工食料を作り出したり、発電したりとすっごく前向きで、過酷な状況であることに変わりはないけど、思ったほど悲壮感が感じられないんですよね。最後はだんだん極限状態となっていきますが、何て言うか、最後まですごくポジティブで、1950年代に書かれただけあって、ある意味、人類の未来にまだまだ人々が希望を持っていた時代の作品だなぁって思いました。(評価:★★★)