しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

第44回日本SF大会「HAMACON2」参加レポート

mikage_H2005-07-31


いやー、気が付いたら、SF大会に行く前日からここの更新を全然してなかったのだった…。mixiとかにはずっと書いてたんだけど、このサイトしか見てない人は「ひょっとしてSF大会でなんかあったのでは?」と思われてた方もいるかも…。すみません。
ではでは、遅ればせながら参加レポートを(遅すぎるって)。ちょっと長いよ!


…まあ、そういうわけで、7/16(土)〜17(日)にかけて横浜で行われた第44回日本SF大会「HAMACON2」に参加してきました。SF大会はこの歳で初参加。「ああ〜ん、みかげ、こわ〜〜い、キャッ!」…なんてブリッ子しながら(大嘘)、旧友のまよらなさんとBANANAさんの初参加3人組で行ってまいりました。
実は最初、どうしようか迷ってたんですよ。遠いし、不安だし、怖そうだし(笑) でも、思い切って参加してよかったです。誘ってくれたえんどさん、初心者の質問にMLやmixiで事前にいろいろ答えて安心させて下さったみいめさん向井さんタカアキラさん、梶山さん、okkoさん、夜の宴会を仕切って下さったひまさん、その他いろいろお世話になったみなさん、本当にありがとうございました。
今回は何もわからないので甘えてばっかりでしたが、雰囲気は掴めましたので、来年の「ずんこん」はもうばっちりかと(ほんとか?)


ではでは、まずは1日目。

まよさんと新幹線で京都から横浜へ。朝5時起きはつらかった…。会場であるパシフィコ横浜には10時すぎに着いたんだかけど、会場前は長蛇の列…。なんかまだ開いてないみたいだし、列はどれが事前申し込みでどれが当日申し込みなのか、どこで折り返しててどこが最後尾なのか、それよりも一体いつになったら開場するのか、とにかくよくわからないまま10時半から始まる「初心者の部屋」の時間は近づいてきてあせってくるわ…で、不安増大。大丈夫か?

最初のコマは10時半から「初心者の部屋」。内容は、シール企画とは何かとか、友だちはどうやって作るかとか、昼ごはんはどこで食べるのがいい?とか、企画の途中で抜け出してもいいの?などなど。私の場合、事前にMLやmixiである程度疑問は解決してましたが、思ったよりも多くの人がオープニング前の早い時間に集まるっていうことは、それだけ不安を抱えた初参加者が多いんだなぁ、と。そういう意味からも、この企画の意義は大きいと思います。わからないことだらけだけど、とりあえず最初にここに行こうっていうのがあると心強いですから。
少し思ったのは、大会の事務事項に詳しいスタッフが(食事は何階のどこどこでとか、そういった質問にも答えられる人)あの場に一人いれば心強いかな、ということ。でも、そういった内容は初心者に限った質問でもないし、オープニングで主催者側からアナウンスする内容だからちょっと違うか。
私のイメージする「初心者の部屋」は、単なる情報を伝える場というよりも、先輩参加者がSF大会の基本的な知識や耳寄り情報、さまざまな極意や裏技を伝授し、初参加者の不安を取り除いて少しでも初めてのSF大会を楽しんでもらえるようにする場だと思ってます。レジュメがあって、もう少し時間があればもっとよかったかな?

でもまあ、それはそれとして、この「初心者の部屋」でいきなり大会名物「シール交換」がむちゃくちゃ楽しいことを実感!(この日記の頭にあるのが私のシールです) もうほとんど「シール猿」ですよ! BANANAさんなんて初心者なのにいきなり大会受付ボランティアをしてたりとか、タカアキラさんがしばらく見ないうちにウーキー族に進化してたりとか、あらま草さんや魚さんと初対面の挨拶をしたりとか、いやー、いきなりなんだか楽しいぞ(笑)


11:30からはオープニング。楽しみにしてたオープニングアニメを初めて見ました。「木を植えた男」のような味わいなのは悪くないんだけど、DAICONⅢのようなお笑い系しか知らないから、こうした渋いタッチはちょっと意外。最近の傾向はこんななの?と思ったら、公募で集まった唯一のアニメ(もう一つは特撮)だそうな。表彰とかゲストオブオナーの講評とか、とにかく進行がぐだぐだで、もう見ててハラハラしっぱなし。野田昌宏さんの老人力全開の天然ボケっぷりと、福井晴敏さんのシニカルな物言いに助けられてたから破綻しなかったけど、ほんと結果オーライって感じで、「大丈夫か、実行委員会?」と心配になってきたりして。
星雲賞授賞式は、初めて目の当たりにできてもう感激の嵐。はるか昔から知ってた賞が目の前で決まるっていうのは感慨深いですよ、ほんと。矢野徹さんが特別賞を受賞したのもよかった。でも海外短編が「ニュースの時間です」っていうのはちょっと納得いかないなぁ。「アメリカの七夜」とか「最後のウィネベーゴ」とかもあるのに。やはり、単行本化されてない作品は弱いのか、それともスタージョンの名前で投票した人が多いのか…。国内短編も飛浩隆さんが受賞したのはすごくうれしいんだけど、私としては「ラギッド・ガール」で取ってほしかった。やっぱりSFマガジン掲載作品は文庫収録作品には勝てないか。あ、文庫作品が受賞した方が帯に「星雲賞受賞作」ってバーンって書けるから、作家としてはその方がありがたいのかも。


お昼はコンスィートでコンビニパン&無料コーヒーを、まよさん、BANANAさんと慌てて食べる。なんせコマ数が少ないくせに休憩時間が短いから大忙しなのだ。


2コマ目は「クラシックSFを語る部屋」。山本弘さんのクラシックSFの定義は「今は書かれなくなったSF」ってことで、具体的には「科学的に時代遅れ」か「はずかしくて書けない」というもの。前者の例として「渇きの海」を、後者の例として「火星ノンストップ」とかを挙げておられましたが、これは決してけなしてるんじゃなくて、逆にそれでもなお輝きを失わず今でも十分面白い作品としての紹介でした。作品への愛情に溢れた山本さんの語り口が楽しかったですね。途中から客席側とのやりとりで「クラシックSF」でもなんでもない話になっていったのが残念。もっと山本さんの独壇場を堪能したかったのに。


…というわけで、途中退散してディーラーズとサイン会へ。桜庭一樹さんには「推定少女」に、飛浩隆さんには「象られた力」にサインをしてもらう。飛さんとは京フェスで面識があるので、お久しぶりですとか、星雲賞おめでとうございますとか、まったりと談笑。飛さんのシールは驚くことに全部手書きでした。


このあと、BANANAさんとマッドサイエンティストカフェに行ったのですが、なんというか、誰かを指名するのはちょっと敷居が高かったです…(泣)(ほんとはえんどさんを指名したかったけど、ウェイター(?)はダメだって)。仕方なく、カウンターでグレープフルーツジュースとか飲んで時間を過ごすことに。


3コマ目は、直前に再会した安田ママさんと「星雲賞受賞者座談会」に参加。なんか、SFの話というよりも、オタク文化論と建築学の話が中心で(でもないか)、これはこれで面白かった。情報としての収穫は、早川から9月にイーガンの新作「ディアスポラ」が出るということと、扶桑社からそろそろ「エンジン・サマー」の新訳が出るということ、あと早川から年末あたりを目途に「異色作家短篇集」が復刊されるとかで、あの幻の「一角獣・多角獣」も出るかも、といったところ。
それにしてもこの企画、このタイトルでこの豪華メンバーなのに、あんなに空いてたのはなぜ〜? ほんと、もったいない。野田さんの企画とサクラ大戦に流れたのかなぁ?


企画終了後は、万葉の湯にチェックイン後、梶山さん、えんどさん、榎本秋さん、BANANAさん、牧眞司さん、みいめさん、東茅子さん らと鯉鰻菜館へ。40人の大所帯の大宴会。今回、張り切って「キルビル」でユマ・サーマンが着てた「オキナワTシャツ」を着ていったのに誰も気付いてくれないなぁとがっくりきてたら、向井さんが入り口で気が付いてくれたのですっごくうれしかったぞ。鯉鰻菜館の料理は噂には聞いてたけど、栗と鰻の料理が絶品。これ、一切れだけしか食べちゃだめっていうのは、ほとんど蛇の生殺し状態ですよ〜(泣)
同じテーブルだったのは、一歩さん有里さん、BANANAさん、第弐斎藤さん、林哲矢さん、六角さん、yama-gatさん榎本秋さん、極楽トンボさん。林哲矢さんの「第弐斎藤さんの本名は実は…」ネタには完全に騙されました…。名前だけ知ってるけど会ったことのなかった方々といろいろ話せて大満足。u-kiさんモりやまさんらとSWⅢネタも熱く語れたし(笑)ひまさん、幹事お疲れさまでした。

万葉の湯に戻ってお風呂に入ってからは、夜の部開始。宴会場で志村さんやえんどさんらと飲んでると、隣のテーブルのSF大会参加者たちといきなりシール交換大会に突入(笑)さらには、時間新聞の人が取材に来たりとにわかに大わらわ状態。ああ、万葉の湯の従業員はなんと思っていたことか…。時間新聞の人に頼まれ、テーブルのみんなでコメントを書いたんですが、翌日、前に座ってた人が浪花愛さんだったと知り驚愕。あー、サインもらえばよかったよ…。

それにしても、シールを交換した人の5人に1人は私のシールを見て「おおっ!」とのけぞるのは、う〜ん…(しかも、失笑付き…)。いやー、これが一番私のキャラを伝えられると思ったので…ははは。来年は自分で絵を描くことにしようっと。


夜の最後は、志村さん、TORIさんと展望足湯に浸かり、志村さんからはドンブラコンの様子を聞いたりとかしました。部屋に戻ると同室の梶山さんが、宴会場にいるいでさんやダイジマンさんのもとへ行くところで、私も行きたかったけど、もう体力が限界だったので、午前1時半に就寝…。


つづいて、2日目。

2日は万葉の湯で6時に目覚め、まだ寝てる梶山さんを横目に、温泉に入って、朝食食べて、また温泉に入って、それからパシフィコへ出発。BANANAさんとまよさんと昼食用のパンとおにぎりをコンビニで買い込んでいざ会場へ。
一コマ目は「SF書評の部屋」。参加した企画の中でもトップクラスの面白さでしたね。SFマガジン書評担当のみなさんがどんな視点で、どんな点を考慮しつつ書いてるのか、その舞台裏の話が実に興味深い内容でした。タニグチリウイチさんもうしろにいないで前で参加したらもっとよかったのに。
柏崎玲央奈さんの「書評をうまい文章や言い回しで書けるよう、他の人の上手な言い回しをメモしてるんですよ」との言葉に、牧眞司さんが「書評は、形容詞を使ってきれいに書こうとばかりしてると、いずれ書評を書くことが楽しくなくなってしまい、やめてしまうことになる。書評は形容詞で書くのではなく、論理で書くべきだ」とおっしゃってたのが印象的。どこがよくて、どこが悪いか、それを形容詞の羅列でなく論理的に表現することが大事だ、との言葉に、まあよく考えたら当たり前のことではあるんだけど、ちょっと感動し日頃の自分を反省したり…(まあ、私の書いてるのは書評じゃなくて感想ですが…)。あと、いでさんがむちゃくちゃ司会がうまい(破綻やもたつきが一切ない)ということを発見したのも収穫でした。すごい、すごい。

続く2コマ目、野田昌宏さんの基調講演をまよらなさんとすぐに抜けだし(ごめんなさい…)、中山星香さんのサイン会へ。私はローゼリィの絵を描いてもらって大感激! となりのめるへんめーかーさんに人数制限の関係でサインをしてもらえなかったのがすごく残念でした。気を取り直してディーラーズに行き、私は「宇宙塵」を2冊購入(最新号&野尻さんのフライバイ掲載号)。まよさんはなんと1万円もするドラゴンのぬいぐるみを買ってました…。いやー、なんというか…。

少し時間があったので「クイズSFヘキサゴン」のラストを少しだけ覗き、安田ママさんとこのカイト君をだっこしたりしてまったりしてから、3コマ目へ。
ところが! 目当ての「SF編集者会議」に向かう途中で「韓国マンガまつり」をつい覗いてしまい、あまりの面白さに出られなくなってしまう(笑)こんなに腹の底から死ぬほど笑ったのは久しぶりでは。韓国のパクリアニメ面白すぎ。だって、シャアが黒騎士で、セイラと剣で戦って、でもって仮面を取ったらなぜかアムロなんですよ(笑)そのあとに上映したフランスの戦隊もの「ビトマン」にも死ぬほど笑わせてもらいました。大学生が自主制作で作った特撮もの…ってノリのB級作品なんだけど、全編にわたって日本の特撮やアニメやゲームネタ満載で、いやもう面白いのなんの! 実写版RPGバトルとか最高。DVDがあれば1万円でも買いますよ、私は(笑)

…というわけで「SF編集者会議」には後半だけ参加。イーガン、早川の「順列都市」が上下巻で大不評だったので「万物理論」は上下に分けず1冊にしたとか、いろいろ裏話が聞けて面白かった。「万物理論」、たったあれだけの部数が売れただけで(すみません、どうしてもそう思っちゃうわけですよ。あんなに話題になったのに、それだけ? でもって、その部数でみんなが「おおっ!」と思うほど他の本は売れてないの? とか)これほど話題になるということからも、海外SFファンの絶対数の不足を痛感しました。やっぱり海外SFで売れるのはペリーローダンだけなのか…。企画終了後にSFM編集長の塩澤さんにご挨拶し「順列都市」再刊の可能性を聞きましたが、どうも難しそうな模様…。うーん、いっそのこと、東京創元社に売りません?

エンディング前にようやく、ちょびさんと再会。あーよかった。エンディングは各賞の発表。暗黒星雲賞の「タイムテーブル」2部門制覇は、あまり笑えないというか…。それはそれとして、司会のお姉さんの「絶対領域はバランスとか完璧だったなぁ(…ってどこ見てるねん!)

終了後、ギリギリでとりこさんスズキトモユさんに会えてご挨拶。その後、会場をあとにして桜木町までみんなでぞろぞろ歩いたんだけど、なんでも花火大会があるとかで、もうすっごい人、人、人…。なんとかJRに潜り込み、関内まで行って有志による突発の飲み会に参加しました。
みいめさんやokkoさん(名札が本名だったので、最初わからなかった…)や富士川さんら若手大学SF研メンバーたちと同じテーブルになり、まったりと自己紹介とかして歓談しました。やはりみいめさんのSF大会の歴史話は、聞いていて参考になります。もっといろいろ話したかったけど、20時に後ろ髪引かれる思いで退散し、新幹線に乗って大阪へ。家に帰り着いたのは0時過ぎ…。あー、ほんとーに疲れたっ!!

それにしても、楽しい2日間でした。お世話になったみなさま、本当にありがとうございました。とにかく、これで「SF大会に病みつき」になっちゃいましたので、来年の「ずんこん」も絶対参加します。みなさん、来年もまた盛り上がりましょうね〜。