しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

シオドア・スタージョン「不思議のひと触れ」(河出書房新社)★★★★☆

あれ?「輝く断片」の間違いじゃないの?との声が聞こえてきそうですが(笑)、実は昨年の京フェスの時につまみ読みしたまま、まだ全部を読み終えてなかった、というわけでして…。今回、「輝く断片」が早くも(早くないって)出ちゃったので、慌てて読み終えたというしだい。
収録作はどれも優れているが、特に気に入ったのは、「もうひとりのシーリア」「不思議のひと触れ」「タンディの物語」「雷と薔薇」。どれも素晴らしいの一言。たぶん他の作家が同じアイデアで作品を書いたとしても、絶対にスタージョンが書いたこれらの作品とはまったくの別物になってしまうのではないか。うまく言えないけどこれは、大森さんが巻末の解説に書いているように「スタージョンの手にかかると(どんなシーンでも)たちまち独特の輝きを帯びる」からであり、だからこそ読後いつまでも心に残るのだと思う。(評価:★★★★☆)