しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

ジョージ・R・R・マーティン「タフの方舟2 天の果実」(ハヤカワ文庫SF)★★★★

「タフの方舟」第2弾。あいかわらず面白い。今回は、実質的なタフ第1作「魔獣売ります」が収録されていて、巷では「それほどでもない」とか「今のタフと性格が違う」とかいろいろ言われてるのを聞いてたので、ちょっと身構えて読んだのだが、いやいやどうして面白いじゃないですか。次の実質第2作「わが名はモーセ」とともに、タフのあこぎな面が強調されていて、これはこれで痛快。むしろ、楽しみにしてた「タフの方舟1」収録の「パンと果実」に続くトリー・ミューンのシリーズ2作の方が、くどく感じてしまった。ス=ウスラムの窮状の話はもういいよ…って感じ。「天の果実」のラストが持つ重みについては評価する声が多いけど、私としては、このタフのシリーズにそんなシリアスな展開をあまり持ち込んでほしくないなぁ、と。というわけで評価は、第1作目より少し落ちて、★★★★ってところ。