しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「蒲公英草紙」恩田陸(集英社)★★★☆

3年間も待ち続けた、恩田陸による名作中の名作「光の帝国」に続く「常野物語」第二弾。

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)

「光の帝国」ファンとしては、もう「春田」という名前を見るだけでうれしくなってくる。それほど「常野物語」は私も含め、多くの人に愛され待ち望まれてたことと思うが、読了後の正直な感想を言うと、少し期待外れだった。確かに物語は悪くはなく、いやむしろ素晴らしいのだけど、聡子の辿る運命をはじめ、全体的にストーリー展開が普通で予想の範囲であり(悪く言えば「きれいにまとまりすぎて」おり)、「光の帝国」を読んだ時のような心揺さぶるような感動にまでは到らなかった(まあ、期待が大きすぎたのかもしれないけど)。
ただ、私としては「常野」の人々に再会できただけでうれしく、彼らのサーガはこれからも10年20年と書き続けてほしいと思う。とりあえず今は、現在連載中の第三弾「エンド・ゲーム」(あの「オセロゲーム」の続編)の発売を心待ちにしている、といったところか。(評価:★★★☆)