しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「電車男」

電車男

公式サイト → 電車男

やっぱり気になったので、先日の休みに観てきました。あの原作(?)をどう料理してるのか興味津々でしたが、電車男を支えた多くの「名無しさん」をいくつかのキャラクターに類型化して登場人物とし、「そうかぁ、2ちゃんでもネットの向こうではみんなこんな風に生身の人間なんだ」という当たり前のことを視覚化した点は○。映画では原作よりさらに踏み込んで、名無しさんそれぞれが単なる外野じゃなくて個々にエピソードを設け、電車男の頑張る姿を見るうちに自分自身も変わっていく…って感じにしてるんだけど、これもなかなかよかった。特に佐々木蔵之介西田尚美がいい。
山田孝之電車男のオタクで情けなくてそれでいて一途なキャラをうまく演じてましたね〜。それにしても、中谷美紀演じるエルメスの完璧さをこうして視覚化されて見ると、改めて「やっぱりこの組み合わせはありえねー!」って思ってしまいますが…。
ストーリーは、順風満帆のまま進んでいく原作のままだと映画になりにくいためか、クライマックスからラストが原作と異なり、もろ純愛ものとなっていますが、相変わらず泣かせてくれる点はそのまま。この原作改変部分は賛否両論で、電車男の2ちゃん頼りのマニュアルぶりがエルメスを傷つけてしまうのが許せない…とかの意見もあるわけですが、私としてはあそこで電車男エルメスと向き合う上で本当に大事なものが何かに気付くという設定は悪くないと思いますね。一人待ちぼうけを喰らわされ、そのあと電車男に「帰ります」と呟くエルメスの心情とか、原作にない細やかな演出は、脚本が女性だからこそ、と思います。まあ私としては、エルメスの「頑張って!」があっただけで満足なんですが。ほんと、ラスト30分くらい、観ながらずっと泣いてましたし(笑)こんなに長時間、映画観ながら泣き続けたのは初めてかも。
とにかく、原作読んで「ふーん。それで?」って思った人とか、あまりいいと思わなかった人は観ない方がいいでしょう。そのかわり、原作読んで「最高!!」って思った人や、ボロボロ泣いた人は、万難を排して観る価値ありですね。私の採点は、ちょっと甘甘だけど、82点。
#ちなみに、現時点での「今年観た邦画ランキング」(点数は、新たな映画が加わると、相対的に変動します)。

  1. 「パッチギ」  85点
  2. 電車男」   82点
  3. トニー滝谷」 80点
  4. 約三十の嘘」 78点
  5. カナリア」  75点

あー、そういえば「ハサミ男」も「姑獲鳥の夏」も見逃してるぞ…。