しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「トウキョウソナタ」

http://tokyosonata.com/index.html

高槻の映画館でまだやってたので12/20に慌てて観てきました。あー、もう少しでまた前売券無駄にするところだった…(^^;

表面的にはごくふつうの家庭が、ふとしたことから瓦解していく恐ろしさ。リストラされた(でも父親としての権威に縛られ誰にも言えない)父親役の香川照之が、はまり役すぎ。そして、平凡で閉塞的な毎日に心が倦んでいく妻役の小泉今日子がまた素晴らしい。でもって、小学6年生の息子役、井之脇海がまた「柳楽優弥の再来か!」と思わせる好演(ほんと、似てるんだから)。観ていて心がざらついてくるこの息苦しさ、どんどん破滅に向かって毀れていく家族の絆、このあたりの描き方が実にうまい。黒沢清ってこんな監督でしたっけ?

そして、もう二度と元には戻らないと思えた家庭が、一度針が振り切れたところから徐々に再生していく一条の希望の光…。この映画観て「ああ、家庭の幸せって実はかけがえのないものなんだ。今の幸せを壊さないよう頑張らなくては」と当たり前のことを改めて思いましたよ。

ほんと、噂どおりの傑作。キネ旬、朝日、毎日で3位以内は固いのでは? まあ「おくりびと」と違って万人受けはしないから強いてお勧めはしませんが、私にとっては今年観た邦画の上位にランクイン確実ですね、これは。