しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「グッドラックららばい」平安寿子(講談社)★★★★

グッドラックららばい (講談社文庫)

グッドラックららばい (講談社文庫)

突然家を出たまま何年も家に帰ってこない母、貯金のことしか頭にない事なかれ主義の父、甲斐性のない男にしか惚れないセックス好きの姉、ガチガチの石頭で男に騙され財産を失う妹…。これだけ書くと「ああ、家庭崩壊ドラマか」と思うかもしれないけど、いやぁこれが180度全然違う。
十年以上会ってなくても、いつでも自然と気持ちを理解しあえる夫婦とか、母親が失踪してもなんてことなしに淡々といつもどおりの生活を続ける家族とか、とにかく設定も展開もけっこう非現実的なんだけど、平安寿子が書くと「まあ、そんなのもありかもね」とごく自然に思えてくるから不思議。
どれだけお互いが好き勝手なことをやってても、離れ離れでいようとも、やっぱり母親はいつまでたっても娘の母親だし、娘はやっぱり母親の娘であって、それが血の繋がった家族なんだよね〜ってさらっと感じさせてくれる、そんないいお話でした。ちょっと変わった家族小説。おすすめ。(評価:★★★★)