しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

これが「犬顔家の一族〜」パンフ付録の文庫本だ!


今日、zomさんと劇団☆新感線「犬顔家の一族の陰謀」をシアターBRAVA!に観に行ってきたんですが、芝居の内容についてはまた触れるとして、そんなことよりもパンフレットに付いてるおまけが見かけも中身もどちらもとにかく凄いので、とにかくこれを紹介せねば。



まずは見かけから。
まあ、とにかくこの写真を見て下さいよ。もう隅から隅まで昔、角川文庫から出てた横溝正史文庫本そのもの(笑)


まず1枚目は表紙・背表紙・裏表紙の写真。
このどこから見ても杉本一文調のイラストといい、題字の書き方から背表紙の雰囲気、裏表紙にいたるまでこの凝った作りのうれしいこと。








2枚目の写真はカバーを外したところ。中の本体部分もしっかり角川文庫のパロディ。左端に映ってるしおりまでしっかり角川しおりのパロディになってて感動。


でもって次に中身ですが、全編これ横溝正史のパロディ作品のオンパレード。
まあ、この目次を見て下さいよ。

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目次

「メイド荘の惨劇」 中島かずき
「金田真一耕助之介vs食人オカヤマ族vs黄金パンダ」 戸梶圭太
「恋の呪文はスケキヨヨキケス」 米光一成
「静まれ!静馬くん!!外伝 決戦☆犬神忍軍vs金田真一耕助之介」 おかゆまさき
「トランプ台上でクビ」 大倉崇裕
「珠世の戸惑い〜事件の陰で〜」 ほしよりこ
「短歌 悪魔の壁新聞」 笹公人
「珠世の憂鬱」 うめ
「太神家の一族」 喜國雅彦

 解説  大森望

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最初見た時、装丁は凝ってても中身は劇団メンバーのインタビューとか、パンフレットとさして変わらない内容でお茶を濁してるのかと思ってたんですが、さにあらず。


戸梶圭太米光一成大倉崇裕なんて顔ぶれが短編を書いてるわ(「撲殺天使ドクロちゃん」のおかゆまさきまで!)、
喜國雅彦のマンガは載ってるわ(3枚目の写真参照のこと)、
おまけに解説は大森望さんだわ、
いや〜、たかが芝居のパンフのおまけにここまで気合を入れますか〜(笑)


でもって、この大森さんの解説があくまで「金田真一耕助之介という探偵が登場する作品が実際に存在していて(しかも長い間、金田一耕助の陰に隠れた存在であり)、そのパスティーシュとして本書が編まれた」というスタンスで大真面目に書かれているのだ。こんな感じ。

(引用)
「日本を代表する名探偵として第一に名が挙がるのは、おそらく常識的には金田一耕助であろう。(中略)一方、探偵としての実力では金田一耕助をはるかに凌ぐとも言われる金田真一耕助之介の名はこれまでほとんど知られていなかった。世界名探偵史の秘部として、この半世紀あまり、金田真一の存在自体がひた隠しにされてきたのである。」
(引用終わり)

もちろん、「以下、本書収録作とその作者について、ごく簡単に紹介する。」の言葉に続き、すべての作品の解説がまじめに書かれているのは言うまでもない(笑)


装丁面でのパロディでは、他にも「角川文庫発刊に際して」(巻末の方に載ってるやつね)のパロディ「新感線文庫発刊に際して」とか、巻末の「新感線文庫目録」とか(このタイトル作者名がすべてパロディ)、とにかく凝りに凝りまくり。
そうそう、言い忘れましたが、3枚目の写真の右に映ってる写真は、2枚目の写真にあるしおりの裏。これがまた「犬神家の一族」の映画が最初に公開された時に角川文庫に挟み込まれてたしおりの完璧パロディだったりする…。


いや〜、この文庫本のためだけでも、今回の芝居のパンフレットは買う価値ありかも。
ほんと、まさかこんなおまけが入ってるなんて思ってもみませんでしたわ。
横溝文庫コレクターとしては、ほんとうれしい〜