しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「サボテンの花」(演劇集団キャラメルボックス)(3/2(金) シアターBRAVA!)


演劇集団キャラメルボックス「サボテンの花」公式ページ


宮部みゆき短編作品で1,2を争う代表作ともいえる「サボテンの花」。私はこの作品に半端じゃないほど思い入れがありまして(宝島社文庫「僕たちの好きな宮部みゆき」でレビューも書いてるくらい(宣伝(笑)))、そんな作品の舞台化ということで期待半分不安半分で観たんですが…。

まず、観るまでこの舞台がミュージカルということを全然知らなかった!(笑) まさかキャラメルボックスがミュージカルやるなんて(しかも「サボテンの花」という、およそミュージカル向けじゃない素材を使って)まったく予想してなかったのでびっくり。で、観た感想としては、これがまたミュージカルとしてしっくりきてるもんだから二度びっくりでしたわ。

内容ですが、卒業発表会から8年後に権藤教頭と子どもたちが再会して酒を飲み…というところから始まる設定とか、信一と野球選手の父との葛藤を物語のもう一つの主軸に据えていたりとか、いくつかストーリーをアレンジしている部分もあるものの、原作の持ち味は損なわれておらず、思った以上に良質な作品に仕上がっていました。原作ファンとしても、これだったら合格点かな?

ただ、最後に真相が明らかになるシーンの感動の度合いは演出として原作の方がはるかに上で(私はいまだに原作を読み返して泣きますから)、この点だけは舞台の負けかも。やはり最後のシーンは静かにしみじみと…でなくては。まあ、群像劇でしかもミュージカルという制約(?)では仕方ないけれど、大勢でにぎやかに真相が明かされるというのは「ちょっと違うな」と思いました。この点だけが、今回の芝居の不満な点ですね。

今回は珍しく東京公演よりも大阪公演の方が先みたいですが(ちょっとうれしい)、関東の芝居好きなみなさん、観て損はないですよ。この日の公演はけっこう空席が目立つ状況だったので、キャラメルファンの方は応援する意味からもぜひぜひ。

PS ちなみにこの芝居を観たら、おいしい日本酒が飲みたくなること間違いなし(笑)