しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「水滸伝 替天の章」北方謙三(集英社文庫)

水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)

水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)

梁山湖に浮かぶ天然の寨には、世直しを志す者たちが集まっていた。しかし頭領である王倫の堕落により、今は盗賊同然の集団となっている。宋江の命を受けた林冲は、安道全とともに寨に入りこんだが、そこには幾多の罠が待ち受けていた。一方、晁蓋は、巨額の税が賄賂として宰相に贈られることを知る。民の苦しみの結晶であるその荷を奪うための秘策とは。熱く血がたぎる「北方水滸伝」、第二巻。(裏表紙解説文より)

第二巻は、まず冒頭の武松のエピソードが衝撃的だ。幼い頃から兄の妻に恋焦がれ続けた武松の悲哀と慟哭。そしてこの巻の白眉は、何といっても梁山湖に浮かぶ天然の寨を盗賊集団の頭・王倫から奪うための、宋江晁蓋林冲らの行動である。朱貴の妻を救うため、身を粉にし治療に専念する安道全と薛永の姿、彼らに協力する白勝の熱い想いも心に残る。

第二巻にしてようやく、彼らの本拠地となる「梁山泊」が誕生する。「替天行道(天に替わって道を行う)」の旗のもと、次巻以降、どんなドラマが待ち受けているのか、考えるだけでわくわくしてくる。早く第三巻を読まねば。