しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「ハイブリッド−新種−」ロバート・J・ソウヤー

ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)

ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)

★★★☆

ネアンデルタール・パララックス三部作の完結編(→第一部「ホミニッド」感想、→第二部「ヒューマン」感想)。うーん、なんて言ったらいいんだろ…。面白かったけど、期待はずれとでもいいましょうか…。

第一部の「ホミニッド」は、ネアンデルタール社会のユニークな文化や社会的慣習の一つ一つが軽いセンス・オブ・ワンダーをもたらしてくれて(さらには法廷ものの要素も加味されて)非常に面白かったけど、第二部の「ヒューマン」では急にネアンデルタール人との恋愛劇になっちゃって、あらららら〜といった感じに。それでも「ヒューマン」ラストで、地球の磁場が数万年ぶりに崩壊する可能性ありといったSF的な大ネタが出てきたので「よし、第三部はいっきにハードSFか!?」と期待したのもつかのま、第三部である本書はやっぱりネアンデルタールのポンターとクロマニヨンのメアリのぐちゃぐちゃした恋愛もののまま。「磁場崩壊の話はいったいどこに行ったんや!」と最後までぶつぶつ言いながら読み進めたというしだい…。ラストはむちゃくちゃ唐突だし…。

とまあ、不満たらたらなんですが、じゃあ面白くなかったのかというと、これがまた、ページを繰る手を止められないほど面白かったりするから始末が悪いんですよねぇ…。このリーダビリティの高さは一体なに? いずれにせよ、当初の期待からは大幅に外れてるけど、ソウヤー節は健在で楽しんで読めるので、まあお勧めといったところでしょうか。( 読了:2005.12.9、評価:★★★☆ )