しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

今年の読み始めは…。

なんかここ数年、新年の一番最初に読む本をハズしまくってるので、今年は慎重に慎重を重ねて、石橋を叩きまくって(笑)「これなら大丈夫だろう」と次の本をチョイス。

停電の夜に (新潮文庫)

停電の夜に (新潮文庫)

とりあえず巻頭の表題作のみ読んだけど、これがもう大当たり。待望の赤ん坊が死産となり、それからというもの急速に関係が冷え切ってしまった夫婦が、停電の夜をきっかけに少しずつ距離感を縮めていき…というお話なんだけど、読者の期待(?)を裏切り、予定調和の結末とならないところが実に素晴らしい。奇跡を描くのではなく、現実を見つめた物語だからこそ、苦い思いとともに心に残る作品。あと8編残ってるけど、残りが全部はずれでも、この表題作だけで十分元が取れちゃってるからよしとしようっと。ふふふ、今年の読書は幸先よさそう。