しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

京都SFフェスティバル2005参加レポート(その1)【本会企画篇】

今年も行ってきました、京フェスに。まずは、本会企画の報告から。
今回は10/8(土)〜10/9(日)といういつもより早い時期の開催で、私の場合、子どもの運動会と思いっきり重なってしまい「まあ、最後のコマから参加できたらいいか」くらいに思ってたら、朝からの大雨で急遽運動会は中止に(保育所まで行ったのに…)。というわけで、これ幸いと仕方なしに京フェスに向かうことに。途中、ガキさんバースデーカードとHさんに頼まれてた京都限定れいな&愛ちゃん&えりりん写真を買いに京都ハロショに寄ってから、会場の京大会館へ。2コマ目の「書評?ブックレビュー?−その意味を問う」から参加。

会場到着

いきなり榎本秋さん、加藤隆史さんから「あれ?来られなかったんじゃなかったの?」と不思議がられる。もともと一緒に来る予定だったまよらなさん、BANANAさんは昼食からまだ帰って来てない模様。
本会企画#2が始まる前に向井淳さんから、頼んでいたモーニング娘。パスカード(東急限定発行)を受け取る。わざわざ恥ずかしいものを買ってきていただきましてすみません。ありがとうございます。

本会企画#2「書評?ブックレビュー?−その意味を問う」

(司会:岡本俊弥、出演:水鏡子牧眞司、喜多哲士)
大森望さんが急遽ダウンのため、牧さんと喜多さん(弥次さんと喜多さんみたい。いや、語感が)ピンチヒッターに。石川喬司さんの「SFでてくたあ」以降のSF書評の歴史を振り返りながら、大森さんの今の立ち位置について(本人抜きに)みんなでガヤガヤと論評。以下、印象に残った言葉をいくつか(録音してたわけではないので、細かな相違についてはご容赦のほどを)。

  • (牧さん)「ブックレビューで大事なことは継続性。ずっと一人の人が定点観測として続けることに意義がある」
  • (牧さん)「文学賞を取った作品は、総じてSFよりもレベルが低い(笑)」
  • (喜多さん)「大森望知名度が上がったという点ではサクセスといえる。TVにも当たり前のように出てるし。これからはだんだん「やくみつる」化していくのではないか?(笑)」
  • (牧さん)「大森望の言葉はわかりやすい。小泉純一郎のようだ(笑)」

とまあ、こんなところかな?

本会企画#3「SFファンのための世界文学入門」

(出演:牧眞司、林哲矢)
世界文学の中にはSFファンが読んでもぶっとぶほど面白くて変な作品がこんなにいっぱいあるんだぜ、と紹介しまくる企画。私はこの辺のジャンルに疎いので、非常に参考になった。なかでも、愛の話がとつぜんスプラッタノベルと化していく(そればかりか、表現そのものもだんだん毀れていく)ウラジーミル・ソローキンの「愛/ロマン」の紹介がインパクト絶大。他にも、途中で中断すると文字が認識出来なくなり、また最初から読み始めないといけなくなる不思議な本を描いたエンリケアンデルソン=インベルの「魔法の書」や、男がバスに乗るというだけの話を99通りの文体で書いたレーモン・クーノーの「文体練習」など、どれもこれも読んでみたいと思わせるものばかりで、時間切れになったのが残念だったほど。夜の合宿でフォロー企画があってもよかったのでは、と思う。または、来年に第二弾をするとか。
あと、気になった点は、書名と作者名がどれもこれもぼそぼそっと早口で話されてたので、十分聞き取れなかったこと(私は終わってから、前に確認に行った)。みんな、単に聞き流しているのではなく「よし、次に本屋に行ったら探してみよう」とか「アマゾンで探してみよう」と思って聞いているのだから、企画内で紹介する本はリストとして配るか、パワーポイントで前に映すか(ホワイトボードに書くのでも可)した方が「みんなに面白い世界文学に読んでもらう」という主旨に沿ったものになったと思う。

本会企画#4「リアル・フィクションとは何か?」

(司会:三村美衣、出演:桜坂洋新城カズマ桜庭一樹塩澤快浩

そもそもリアルフィクションって何なの?という疑問を、リアルフィクション作家の枠組みに(なかば強制的に)入れられてしまった(笑)作家さんたちと、なぜか命名した塩澤編集長とで解き明かしていこうという企画。塩澤さん自身「リアルフィクション」の定義があいまいで、他の作家の方の意見をもとに企画内で自分の考えをまとめていこうとしてる姿が、適度に「天然ボケ」の雰囲気を醸し出してて場内は笑いの連発。いやー、塩澤さん、いい味出してます(笑)。
結局、リアルフィクションとは「ハードではなくソフトを中心としたもので、みんなの生活感覚(ケータイを使ったりとか)を踏まえた上での現実、すなわち「今」を描いた小説」というような話となったが、最後にぼそっと塩澤さんが言った「別にSFでなくてもいいかな、と」というセリフに三村さんが「今、さらっとすごいセリフが出ましたが…」と騒然(笑)。


…というわけで、本会企画はここで終了。今年の企画も、どれも満足のいく内容だった。私が京フェスに参加するのは今年で4回目だけど、昼の企画でハズレだったものって、記憶する限り全然ないっていうのは、京フェス企画のクオリティの高さのあらわれだと思う。先日のSF大会で、けっこうぐだぐだな企画をいくつか見たあとだけに余計そう思うのかもしれないなぁ。

本会企画が終わったあとは、えんどさん、まよらなさん、BANANAさんと夕食を食べに行き、そのあとはメインイベントの合宿に。


…とまあ、そういうわけで本日はここまで。続きは後日ということで(ほんとか?)