しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

SFマガジン2005.5月号感想

あ〜、今月も提出が1週間も遅れてしまった…。というわけで、SFマガジン2005.5月号の感想をば。今月はニール・ゲイマンとリズ・ウィリアムズだけだなぁ…。


特集「ニュー・ウィアード・エイジ − 英国SFの新潮流」

他の人も書いてるように、この「ニュー・ウィアード・エイジ」という定義自体が甚だ心許ないものだが(「もともと存在しなかった」って…(笑))、2002〜2004年といった近年の英国SFを紹介した点は評価できる*1。とはいえ、個々の作品を気に入ったかというと、それはまた別の話。

異星から来た王族に支配される世界で起こる殺人事件。設定が如何に特殊であろうと、そこで展開されるホームズ・パスティーシュな謎解きはミステリファンとしては読んでて楽しいの何の。最後にニヤリとするオチまで用意してもらって、これは文句なしの今月の1位。

  • 「樅の木食堂で朝食を」ジョン・コートネイ・グリムウッド +0
  • 「暗黒の晩餐会」リズ・ウィリアムズ +1

世界観は不思議とニール・ゲイマンの作品と同種の肌触りを感じた。夜の支配者による暗黒の世界で施される闇の料理のイメージが斬新。リズ・ウィリアムズは初めて読んだが、もっと他の作品も読んでみたいと思った。

  • 「帰休兵」ニール・アッシャー +0

読んで悪くはないけど、目新しさなし。浅田次郎が描く浪花節な任侠ものっぽさ(こんなこと思うの私だけ?)が少し気に入らない。

「言語文明」「詩が人を殺す」と言った設定は面白かったが、もう少しうまく料理してほしかった気がする。メタなオチは今ひとつ。

  • 「シンクロナイズド坂」深堀骨 -2

深堀骨と私の感性には大きな溝があると再認識させられてしまった…。読んでてただひたすら苦痛だったよ…(泣)

わざわざ「浅倉久志セレクション」として20年も前から発掘してきて掲載するほどの作品と思えないんですが…。

今月は可もなく不可もなく。

*1:だって、昨年までのスプロールフィクション特集なんて、現在の潮流みたいな印象を与えつつも、作品自体は無茶苦茶古かったですから…(今年はこの点は解消されてるみたいですが)