SFマガジン2005.4月号感想
うーん、みんな言ってることだけど(みんなって?(笑))、今月号は顔ぶれはすごいけど中身はそんなにすごくなかったような…。いや、悪くはないんだけど、少し「名前負け」してるかなぁ、と。
- 「空の園丁 廃園の天使II」 飛浩隆 +0
「廃園の天使」第二部が1950年代の日本と聞いた時から、どんな展開になるか興味津々だったので、今回の冒頭部分を読んで何となくイメージできたって点では悪くなかったけど(雰囲気も気に入ったし、天使との戦いという設定も面白そうだし)、でもこんな出だしだけ読まされてもなぁ…。すぐに1冊の形にまとまって出る予定があっての「予告編としても冒頭掲載」ならまだしも、いつ出るかわからない作品の頭だけっていうのもちょっと…。特集のために無理矢理載せたって感じ。というわけで、評価はニュートラルな「+0」。
- 「ひとりっ子」 グレッグ・イーガン +1
うーん、量子コンピュータってものがそもそもわかってないので、クァスプだったら絶対に分岐が起こらないっていうのがよく理解できていない。で、もしクァスプがそういうものならばヘレンに分岐は決して起こらないから、ヘレンの振るまいは常に1種類なわけで、でもヘレンを取り巻く世界は様々な分岐を起こした結果の無限のパターンを持つ世界だし、この無限のパターンを持つ世界と単一の振るまいのヘレンが一体どうやって整合性を取るのかがよくわからない。
あと「ひとりっ子」という邦訳はどうなんだろ? 確かにSingletonの訳は一人っ子だけど、ここでのSingletonは「分岐しない単一の存在」って意味だし…。
でもまあ、アダイに対して血を分けた子と同様の愛情を持つことはできるか?というテーマはけっこううまく書かれていてラストも悪くないし、最近SFMに発表されたイーガンの短編の中では一番好きかも。
- 「罪なる方法、模型・模倣・消去」 神林長平 +0
これから面白くなっていきそうなところでストンと終わったという感じ。うーん、ちょっと消化不良か?
- 「火葬」 クリストファー・プリースト +2
「+2」はちょっと甘いかもしれないけど、私はこの「ドリーム・アーキペラゴ」という舞台が醸し出す濃密で独特な雰囲気がすこぶる気に入ってるもので…。今回はまあ予想どおりのラストだけど、このぞわぞわとした生理的嫌悪感は何とも言い難く、この嫌な不快感を味わうだけでも一読の価値あり。
- 「からさわぎ」 コニー・ウィリス -1
前の「白亜紀後期にて」とかもそうだったけど、やっぱり私はウィリスのこの路線はダメみたい。徹底した言葉狩りでシェークスピアがボロボロになっていくアイデアは面白いけど、それだけのような気が…。もうひとひねり欲しかった気がする。
- 「録音」 ジーン・ウルフ +0
もっと超自然的な結末かと思って読んでたのだが、意外とあっさりしたラストだったなぁ、と。
- 「おまかせ!レスキュー[82]」 横山えいじ +1
古本者は「うんうん」と頷くのでは? 今月はなかなか面白かったぞ。