しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

ポール・アルテ「カーテンの陰の死」(早川書房)★★★☆

殺人現場に偶然居合わせたマージョリーは、犯人と同じ服装をした謎の人物が自分の下宿に入ってくるのを目撃する。続けて住人が、カーテンで仕切られた密室状態の玄関で殺害され…。シリーズ第3作。(bk1の紹介文より)

ポール・アルテのツイスト博士シリーズ第3弾、今回も絶好調!
頭皮を剥がれた女性の死体、降り積もった雪と仕切られたカーテンによる密室状態の玄関でナイフで刺殺された女性…。不可能犯罪による謎が深まるなか、物語は、同じ下宿で七十五年前に起きた迷宮入り事件とシンクロし、さらには一癖も二癖もある住人たちの過去の所行とも複雑に絡み合って混迷の度合いを増していくんですが、最後にツイスト博士がスパッと解決するのはお約束。いやまあ、ちょっと(いや、かなり)強引な展開もあるし、正直言ってトリックの謎解きも「ちょっと、ちょっと、そんなんあり?」という感なきにしもあらずですが、読む方としても今さらまったく新しい驚天動地のトリックが出てくることはさすがに期待してないので、謎解きの過程が読んでて楽しければ問題なしと言えるでしょう。
今回も、適度に薄くて、手軽に読めて、にもかかわらず最後の最後まで様々な謎によって楽しませてくれたので、私としてはけっこう満足のいく一冊でした。年末のベスト10で1位になるかといえば「うーん…」と唸ってしまいますが…。(評価:★★★☆)