しゃんぶろう通信

姫川みかげ です。ミステリやSFの感想など。

「ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女」スティーグ・ラーソン

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下

★★★★★

全世界で800万部突破とか、発表前に作者が急逝とか、池上冬樹氏や大森望氏が大絶賛とか、そんな鳴り物入りの登場だったので半信半疑で読みましたが、いや〜、噂に違わず面白いのなんの!

罠に嵌められ窮地に陥った社会派雑誌「ミレニアム」の発行人ミカエルが、40年前に密室状態の孤島から女性が失踪した事件の調査を依頼されるが、そこにはとてつもない謎と驚愕の真相が隠されていて…っていうストーリー。
行方不明のハリエットをわずかな証拠から探し出していく謎解きや、大物実業家と出版社の対立や駆け引き、陰謀の数々は面白く、これだけでも年間ベスト級なんだけど、本書をそれ以上に傑作たらしめているのは、全身をタトゥーとピアスで飾った女性調査員リスベット・サランデルの強烈な個性。社会性が完全に欠如した性格、妙齢なのに少女のような体躯、それでいて調査能力は超人的に優秀、でも誰にも心は開かない。そんな心を閉ざした彼女と主人公ミカエルが出会い、少しずつ心を通わせながらタッグを組んで難局に挑んでいくさまがすごくいい。

本書は3部作の第1部だけど、第2部はさらに面白さに磨きがかかっているとのこと。これは第3部までしばらく楽しめそう。年間ベスト級と噂の「ユダヤ警官同盟」が出たとこだけど、第3部でこけないかぎり今年の賞レース、海外ベストはこの「ミレニアム」でまず決まりでしょうね、ふふふ。